2018-11-19 和暦の死んだ日
明治・大正・昭和・平成と続いた、和暦が死んだ。*1
正確に言うと、死んだことに気づいた。
JRの定期券の有効期限が、平成表記から西暦表記に変わっていた。
「なんだそれだけか」と思われるかもしれない。が、少し考え、二度と和暦表示に戻ることはないという結論に至った。
なぜか。
こういう「年号変更」は昭和から平成に変わる際に行われた。
その際に「西暦表記」にしなかった会社はいくつかあるだろうが、おそらくこういう声があったのだろうと推測できる。
『日本なんだから、日本の元号を使うべきだ』
それはその通りで、私もそれには同感だ。
しかし、平成から次の年号に変わる際には、日本の元号を使う会社はいくつかあるだろうか。
日本の元号を使いたい人はいるはずだ。
だが、次の意見に対する反論は、非常に難しい。
『分かっていない元号に合わせてシステムを作ることは不可能』
技術的・予算的な問題ではない。分かっていない元号を使うことは理論的に不可能だ。
しかし、2019年に変更されることは決まっているのだ。
つまり、何がなんでも2019年には元号を変更しなければならない。しかし、和暦の元号は決まっていない。
理論的帰結として、変更に間に合わそうとすると「西暦を使うしか方法がない」のだ。
「日本の元号は西暦を使うしかない」
日本の元号が西暦に統一される日は近い。
さて、この昨今、コンピュータシステムがない世界などほぼあり得ない。
この世界で和暦ではなく、西暦で日本の元号が統一されたら何が起こるか。
今度は「コスト的問題」で、和暦に戻すことは非常に難しい。
西暦は(おそらく2038年、または、9999年までは)システムの変更がほぼ不要である。ひたすら1ずつ増えていくだけだ。
ここで、先ほどの意見を見てみよう。
『日本なんだから、日本の元号を使うべきだ』
これは利益を生み出せない(例外:法律で和暦と定められているシステム)
西暦では「どうせ変わるんだから、どっちでも良いじゃん」というタイミングが存在しない。
今後、システムで和暦が使われることは、まず無い。
ところで、日本の元号が生き残るすべはあった。
天皇陛下がお気持ちを述べられ、平成が終わるタイミングが決まるまでの間に。
その間に(理想論を言うと、平成が終わるタイミングが決まると同時に)新元号を発表することが出来たはずだ。
天皇陛下はその時間を与えてくださったはずだ。
考えてみて欲しい。
もし、新元号が分かっていた場合の『日本なんだから、日本の新元号を使うべきだ』という意見への反対のしにくさを。
しかし、その時は過ぎ、システムはすでに西暦へと置き換わりつつある。
今すぐ発表したところで、変わった・変わろうとしているシステムを戻すことは難しい。
改めて言おう。
明治・大正・昭和・平成と続いた、和暦は死んだ。
*1 明治以前はすでに歴史の教科書でしか出てこないので割愛する